瑠衣は女手ひとつで達也を育て、大学まで通わせ、気が付けばその年に大学を卒業し、不動産業界への就職を決めていた。 ——これは子育てをしていても通る道ですね。 ——そう考えると、彼女は心にポッカリ穴が空いたような気分になった。 ――春、達也は東京で一人暮らしをすることになる。 ――寂しくなったら達也から温泉に行こうと誘われた。 ——「大学に進学したお母さんと卒業旅行に行きたい」龍藤達也は二人だけで卒業旅行を始めた…。